電子帳簿保存法への対応では、「保存できるか」だけでツールを選ぶと失敗しやすいです。国税庁は、電子取引データについて原本のまま保存すること、改ざん防止の措置を取ること、検索できる状態を確保することなどを案内しています。一方で、索引簿の作成や規則的なファイル名でも対応できる簡易な方法も示しており、必ずしも高機能な専用システムが絶対に必要というわけではありません。だからこそ、ツール選定では「法対応できるか」よりも、「自社の運用をどれだけ楽にできるか」で比較することが重要です。

電子取引データは、令和6年1月以降、プリントアウト後に元データを消す運用ではなく、電子データそのものを保存する必要があります。また、一定の条件を満たせば検索要件が不要になるケースもありますが、日々の運用で迷わない仕組みを作るには、検索・保存・履歴管理をまとめて行えるクラウドツールの方が実務では扱いやすい場面が多いです。

電子帳簿保存法対応ツール おすすめ5選

TOKIUM電子帳簿保存

TOKIUM電子帳簿保存は、電子帳簿保存法の要件を満たしたうえで、国税関係書類を一元管理できるクラウド文書管理システムです。公式ページでは、契約書・見積書・納品書など幅広い書類の保存、JIIMA認証、タイムスタンプ機能、検索・閲覧のしやすさ、さらにアカウント数やデータ容量の無制限利用を打ち出しています。領収書だけでなく、複数部署にまたがる書類をまとめて管理したい会社に向いた候補です。

バクラク電子帳簿保存

バクラク電子帳簿保存は、AI-OCRで取引先名・取引日・取引金額を自動読み取りし、保存区分の自動判定やタイムスタンプ付与、権限管理まで備えているのが特徴です。メール転送での取り込みやCSV/PDF出力にも対応しており、無料プランは月200件まで、有料プランは月額12,000円税別からと案内されています。まずは小さく始めたい会社や、手入力をできるだけ減らしたい会社と相性が良い選択肢です。

楽楽精算

楽楽精算は、経費精算を起点に電子帳簿保存法へ対応したい会社に向いています。公式では、領収書・請求書のスキャナ保存と電子取引保存の両方に対応し、領収書読み取り機能、タイムスタンプ付与、検索機能を搭載していると案内されています。書類をアップロードするだけで自動で要件を満たした保存ができ、ファイル名変更やフォルダ保存の手間を減らせる点は、現場の負担軽減につながりやすいです。

freee会計

freee会計は、会計ソフトを軸に電子帳簿保存法へ対応したい小規模事業者や少人数の会社に候補になります。公式ページでは、全プランで電帳法の主要3点に対応し、オプション料金は不要、スマホで撮影して保存できること、1,000以上のサービスと同期できることが案内されています。さらにヘルプでは、紙の請求書や領収書も、電子ファイルも、ファイルボックスで法令要件を満たす形で保存できると説明されています。

マネーフォワード クラウドBox

マネーフォワード クラウドBoxは、紙の書類と電子書類の両方を一元管理しやすいストレージ型の選択肢です。クラウド会計やクラウド請求書と連携して、仕訳登録した証憑や発行書類を自動保存できる点が強みです。すでにマネーフォワード クラウドを使っている会社には特に相性が良い一方で、クラウド経費やクラウド債務支払で電帳法対応を進める場合は、オプション設定や社内規程の整備が必要なケースがあるため、導入前に運用条件を確認しておきたいところです。

システムを比較する上で見るべきポイント

電子取引だけか、スキャナ保存まで必要か

最初に確認したいのは、自社が対応したい範囲です。メール添付の請求書やECサイトの領収書など電子取引データの保存だけでよいのか、紙で受け取る領収書や請求書までスキャナ保存したいのかで、必要な機能はかなり変わります。電子取引だけなら比較的シンプルに始められますが、紙の書類まで含めると、アップロード方法やOCR、社内ルールの整備まで考える必要があります。

領収書・請求書以外の書類も保存するか

電帳法対応というと領収書や請求書をイメージしがちですが、実務では契約書、見積書、納品書、発注書なども対象になり得ます。国税庁も、請求書・領収書・契約書・見積書などに関する電子データの保存を案内しています。書類の種類が多い会社では、経費精算ツール単体より、文書管理型のツールの方が使いやすいことがあります。

現場が使いやすい入力方法か

現場で使いにくいツールは、制度上は正しくても定着しません。スマホ撮影で完結するのか、メール転送で取り込めるのか、AI-OCRで入力補完してくれるのかによって、申請者の負担は大きく変わります。たとえば、freeeはスマホ撮影による保存を打ち出しており、バクラクはAI-OCRとメール取り込み、楽楽精算はアップロード時の自動タイムスタンプや自動読み取り、TOKIUMは検索しやすい一元管理を強みとしています。

検索機能と権限管理が十分か

電帳法では検索性が重要です。国税庁は「日付・金額・取引先」で検索できるようにする考え方を示しており、ツールを使うならこの要件を現場で無理なく満たせるかを確認したいです。あわせて、誰でも全書類を見られる状態では運用しにくいため、部署別や担当者別の閲覧制限、編集ロックの有無も比較ポイントになります。

既存の会計ソフトや経費精算フローとつながるか

単独で保存できるだけのツールより、既存の会計ソフトや請求書処理、経費精算の流れとつながるツールの方が、二重登録を減らしやすいです。マネーフォワード クラウドBoxはクラウド会計やクラウド請求書との連携、freee会計は各種サービスとの同期、楽楽精算は経費精算フローの中での保存、TOKIUMは書類管理の一元化を打ち出しています。自社が今使っている仕組みの延長線上で選ぶと、導入後の混乱を抑えやすくなります。

スキャナ保存 システムを選ぶときの注意点

スキャナ保存 システムを選ぶときに見落としやすいのは、「法対応」と「運用の軽さ」は別だという点です。国税庁は事務処理規程や検索性の確保を示しており、理屈のうえではツールなしでも対応できる余地があります。ただ、紙の領収書が多い会社では、その運用を人力で回すのは現実的に重くなりがちです。OCRや自動判定、タイムスタンプ、検索条件の自動整備まで支援してくれるかを見ておくと、導入後の差が出ます。

また、社内ルールの整備まで含めて考えることも大切です。マネーフォワードのサポートページでも、クラウド経費やクラウド債務支払で電帳法対応を行うには、設定に加えて規程の制定が必要と案内されています。ツール選びだけで終わらせず、「誰がアップロードするか」「原本はどう扱うか」「どの書類を電子保存対象にするか」まで合わせて決めると、導入後に迷いにくくなります。

会社タイプ別のおすすめの考え方

小規模事業者や少人数の会社なら、まずは会計と保存をまとめやすいfreee会計、あるいは既存のマネーフォワード環境があるならクラウドBoxから検討すると始めやすいです。どちらも既存業務との接続がしやすく、制度対応のためだけに新しい運用を増やしすぎずに済む可能性があります。

領収書処理や経費申請が多い会社なら、楽楽精算のような経費精算寄りのツールが向いています。書類保管だけでなく、申請・承認・検索まで一連で回せるため、現場の入力負担と経理の確認負担を両方下げやすいからです。

複数部署で契約書、見積書、納品書まで一元管理したい会社なら、TOKIUM電子帳簿保存やバクラク電子帳簿保存のような文書管理寄りのツールが候補になります。特に、検索性や権限管理、書類分類、取り込み方法まで重視する場合は、単なる保管箱ではなく、運用まで支える機能があるかを確認したいです。

まとめ

電子帳簿保存法対応ツールは、法令要件を満たすこと自体よりも、現場で無理なく続けられるかどうかで選ぶのが重要です。国税庁の案内を見ると、専用ツールなしでも一定の対応は可能です。ただ、検索、改ざん防止、入力負担の軽減、社内ルールへの落とし込みまで考えると、実務ではクラウドツールを使った方がスムーズなケースが多いです。

迷ったときは、「保存したい書類の種類」「紙が多いか電子が多いか」「今使っている会計・経費精算システムとつながるか」の3点から比較してみてください。電子帳簿保存法 システム 比較は機能数の多さで決めるのではなく、自社の運用負荷をどれだけ減らせるかで決めると失敗しにくくなります。