経費精算は、日々の業務の中でも頻度が高く、正確性が求められる経理業務のひとつです。近年はインボイス制度の開始や電子帳簿保存法の改正など、法令対応も複雑化しています。

本記事では、経費精算の基本から、領収書・インボイスの確認ポイント、電子帳簿保存法への対応まで、実務に役立つチェックポイントをわかりやすく解説します。


経費精算とは?基礎からおさらい

経費精算とは、社員が業務上支出したお金を、会社が払い戻す手続きを指します。交通費、出張費、会議費、接待交際費などが主な対象です。

実務では、申請書とともに領収書やレシートが添付され、それらの妥当性を経理担当者がチェックします。精算ミスや不正を防ぐためにも、確認作業は非常に重要です。


チェック1|領収書の基本要件を押さえる

領収書は、経費として処理するための”証憑(しょうひょう)”です。以下の5項目が記載されていることを必ず確認しましょう。

領収書の記載必須事項

  • 発行者の氏名(または名称)
  • 取引日
  • 取引内容(品目やサービス内容)
  • 支払金額
  • 宛名(原則は会社名)

※レシートも、これらの情報がそろっていれば領収書と同様に使えます。

※「上様」は税務調査で否認されるリスクがあるため、会社名を明記するのがベストです。


チェック2|インボイス制度に対応しているか

2023年10月からスタートした”インボイス制度(適格請求書等保存方式)”により、経費の消費税額控除には「インボイス」の保存が必要になりました。

インボイスの確認ポイント

経費の精算書に添付された領収書が「インボイス(適格請求書)」かどうかを確認するには、以下の要件をチェックします:

  • 「適格請求書発行事業者登録番号」が記載されているか
  • 税率ごとに区分された消費税額が明記されているか
  • 取引内容や金額が具体的に記載されているか

特に軽減税率対象(飲食料品など)では、税率ごとの記載が必須です。

登録番号の確認方法

発行元の登録番号は、国税庁のインボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトで検索可能です。不審な領収書があれば、事前に確認しておきましょう。


チェック3|電子帳簿保存法への対応

紙の領収書だけでなく、電子データで受け取った領収書や請求書についても、電子帳簿保存法への対応が求められます。

電子帳簿保存法の基本ルール

電子帳簿保存法は、電子データのまま保存する場合に適用される法律です。令和4年の改正により、以下の要件が緩和されつつも、一定の保存ルールが義務づけられています。

  • 改ざん防止のためのタイムスタンプ付与
  • 検索機能(取引年月日、金額、取引先など)
  • 関連書類との紐づけ
  • 見読性の確保(PDFでの保存など)

スキャナ保存との違いも理解を

紙の領収書をスキャンして電子保存する場合は、「スキャナ保存」に該当します。こちらにも事前申請が不要となるなどの緩和がありますが、一定の社内規定整備や運用ルールが求められます。


チェック4|経費の妥当性と社内ルールの確認

領収書が正しくても、「業務に必要な支出かどうか」は別問題です。精算対象となる費用が会社の経費規定に沿っているかもあわせて確認しましょう。

よくある確認ポイント

  • 同一日に同一人物から複数件の精算が出ていないか
  • 社員個人の飲食や買い物など、私的利用が混ざっていないか
  • 金額が過大ではないか(接待費・出張費など)

規定に違反する経費は、税務上のリスクだけでなく社内トラブルにもつながります。怪しい場合は、上長に確認を取るなど、慎重に対応しましょう。


まとめ|経費精算のチェックを正確に行うために

経費精算は、ただ領収書を見て金額を打ち込むだけではありません。インボイス制度や電子帳簿保存法の知識を踏まえたうえで、法令と社内ルールの両面から確認することが求められます。

経理事務員としてのチェック精度を高めることで、会社全体のコンプライアンス強化や、税務リスクの回避にもつながります。

日々の確認作業を「作業」ではなく「守りの業務」として意識して取り組みましょう。